あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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管理職がどれくらい減ったかをグラフで確認してみた

課長になれる人が減っている、ということは良く言われるし、データでも確認されている。

名ばかり管理職のような、名目的な管理職が減るのはいいことだ。

でも実際のところでいえば、やっぱり年功「昇格」が減っていることが大きな原因だろう。

年功「昇給」が減っていることについては、以下の記事で紹介した。

だから今日は、年功「昇格」が減った結果として、どれくらい管理職割合が減ったのかを示してみたい。

データソースはあいかわらず賃金構造基本統計調査だ。

まず課長から見てみよう。

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全体として課長の数は減っている。

特に気になるのは、35才~44才層での課長の減少だ。

一方で50才以上の課長は微減か微増といったところだ。

ということは、課長になれる年齢が遅れているということだろうか?

いや、労政時報の経年調査を確認してみると、昇進年齢は逆に早まっているという会社の方が多い。

となると昇進年齢が遅くなっているというよりは、別の理由がありそうだ。

それが次のグラフ。部長割合の変化だ。

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このグラフからわかるように、全年齢帯で部長割合が減っている。

 

これらのことから読み取れるのは、「部長になれる人が減って」「課長どまりの50代が増えている」ということだ、と僕は考えている。

 

その証拠に、管理職全体の割合はそれほど変化はしていない。

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全就労者に占める管理職の割合(部長と課長の合計)は2005年に19.1%だった。

そこから微増微減を繰り返し、2014年時点で17.1%に減少している。

減少幅は2%だけで、それほど大きな変化とまでは言えない。

 

 

前回の記事で示したように、部長であっても課長であっても、45才~49才が給与の上限だ。そこで昇給は実質的に止まる。

となると45才~49才のあたりまでに部長に昇進していないと、課長どまりで給与は減っていく、ということになるわけだ。そして、部長になれる昇進の門はどんどん狭くなっているということだ。

 

部長への昇進判断は、単年度だけでされるわけじゃない。仮に45才で部長に昇進するとしたら、実際の確認は42才くらいから始まる。

だからもし今の会社で部長以上になって、その先の役員を目指すのであれば、42才までが勝負だ、ということになる。

 

もしあなたが40才未満であれば、いちはやく課長になって、その先へ昇進するための力をつけなくちゃいけない。

もしあなたがすでに42才を超えて課長になっていないのであれば、それは今の日本の会社の仕組みでは、50才くらいで厳しい現実をつきつけられるということだ。

そういう仕組みになってしまっているということがグラフからわかる。

 

前回示したように、課長になれなければ残業代を含めて800万円の年収の天井は超えられない。

そしてどの役職になっていようとも、50才になったら年収は減り始める。

そんな時代に僕たちは、どのような生き方を選ばなければいけないのだろう。

1993年にWindowsが普及し始めて、その後の10年で働き方が大きく変わった。

同じように今、働き方が大きく変わろうとしている。それは会社と個人との関係性の変化が具体化しているということだ。

 

その変化をどう乗りこなしていくべきか、またいろいろと紹介してみたい。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

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