あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

やっぱり、出世する人は……

今日も、とある組織の昇進面接官をしてきた。

毎年恒例なせいか、なんとなく受験者側に質問のノウハウがバレだしている気もする。

たとえば、質問をした瞬間に「キター!(^^)!」みたいな表情をする人がいたりして。そこからすっごく流暢に答えが出てきて、うーんなんだかなぁ、これって対策とられてるんじゃないかなぁ、と面接官同士で話し合ったりもする。

もう何年もやってるし、受かった人は自分の同期とか後輩に、何を聞かれたか、とか話しているだろうし。

 

とはいえ、対策を取られても、やっぱり合格点にはそれほど影響はしない。

なぜなら、「自信」を持って答える内容そのものが、出世する人とそうでない人とで違うからだ。

 

出世しない人≒面接で低い点数がつく人は、「顧客にどれだけていねいに対応したか」とか「自分がどれだけ効率よく仕事をしているか」とか「同僚や部下のモチベーションをどれだけ維持し引き上げているか」とかを自慢げに話す。

それは多分今の評価基準であって、それにしたがって行動することは、目の前の評価を良くする。けれども出世にはあまり役にたたない。

 

出世する人≒面接で高い点数が付く人は、「クレーム顧客をどうやってファンに変えたか」とか「チームの効率をどうやって改善したか」とか「結果につながる行動をどうやって引き出してきたか」を話す。

 

私が、じゃなくて、私たちが、で話すことも特徴の一つだ。

 

丁寧な仕事をしっかりとしている人を出世させないことに、なんとなく胸が痛むときもある。

けれども、その人を出世させてしまうと、その部下たちが苦労することが目に見えている。

 

自分を中心としたまわりの3メートルで働いている人、お客様だけを見るんじゃなくて、もう少しだけ俯瞰的に見ることができれば、きっとみんな成長できるのに。

 

そんな残念さを感じながら、また面接を続ける。

 

 

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)