経営幹部には歴史・投資・テクノロジーを教える
クライアントの中期計画策定合宿に参加してきました。
皆さんの発表を聞きながら伝えたコメントが、私の頭の整理にもなり、また多くの会社にも応用できる軸になるのでは、と思ったので紹介してみます。
まず守秘義務に反しない範囲で多少アレンジしたうえでその会社の概要を。
社歴が100年近い老舗企業で、主要ビジネスは2つです。
1つ目は創業時から続いている、インフラ系ビジネス。お客様は半官半民的な位置づけの組織です。
売上と利益は安定していますが、業界そのものが縮小基調にあります。
ただ、業界再編も進んでおり、他社を飲み込んで飛躍できるチャンスもあります。一方で吸収されてしまうリスクもあります。
2つ目は1つ目のビジネスを展開し業界を広げたビジネス。お客様は幅広く、マーケット規模も極めて大きいです。ただ業界の線引きがしづらく、競合が不明確です。自社内でも何を軸にビジネスをすべきかがあいまいになりがちです。
1つ目のビジネスに対して私が示したコメントは「歴史に学ぶ」でした。
インフラ系ビジネスで、半官半民ということは、ステークホルダーそれぞれが力を持っているということです。事業者だけでなく、政府や地方自治体、住民なども深くかかわってきます。
そのような場合、私たちは「あるべき論」の仕組みから考えることはもちろんですが、人の機微に触れ、乗り越えてきた先人の知恵に学ぶことが有効です。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ、という先人の言葉をぜひ思い返してみてほしいと思います。
2つ目のビジネスに対して私が示したコメントは「軸に沿った投資を進める」ということでした。
多くの可能性があるビジネスの場合、目の前の収益を意識して、あれもこれもと手を出してしまいがちです。
コロナショックの折、目の前のキャッシュはとても大事です。だから当面はそれでもよいのですが、1年後はそうはいきません。
中期計画策定の場だからこそ、1年以上先を見据えた活動をしてほしい。そのためには、ずれないための軸を定めるとともに、その軸に沿った投資をするということです。
投資をするにはもちろんキャッシュが必要です。そのキャッシュをどうやって引っ張ってくるのか。説明責任も果たさなくてはいけません。そこに夢がなかったり、計画があいまいなままだったりしてはだれもキャッシュを提供してはくれません。
そのための作業も含めて、投資を進めてほしいと伝えました。
そしてもう一つ。管理本部に対して私が示したコメントは「ファイナンスとタレントをマネジメントする」というものでした。
要は将来のためのカネをヒトをしっかり支えるということです。
どうしても損益ベースでものを考えがちになる事業部門に対し、管理部門こそ、中長期での資本、資産の在り方を考えてほしいと伝えました。
そのためには、ファイナンスもタレントも、テクノロジーによって大きく進化しつつある領域です。
守りの管理部門からイノベーションを起こす管理部門への変革をご提言しました。
上記の私からの提言が、皆様の会社においても何らかのお役に立てることを祈っております。
セレクションアンドバリエーションの幹部教育プログラムはこちら。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
※コンサルティング実績ページを拡張中です。
よろしければご確認ください。