高額給与の支払い方コンサルティング
人事コンサルティングの依頼として、「高額給与の支払い方」についての相談が増えてきました。
対象となる職種は主に2種類。
エンジニア系採用と経営幹部採用です。
エンジニアを採用したいという理由は、大ぐくりでいえばDX(デジタルトランスフォーメーション)対応ということなんですが、細かい話でいうと、以下の職種になります。
・UI/UXデザイナー
・WEBエンジニア
・VPoE(こちらは経営幹部ともかぶりますね)
金額水準としては、UI/UXデザイナーとWEBエンジニアがだいたい同じくらいで600万円~800万円。VPoE(Vice President of Engineer)で1000万円~1500万円といったあたりです。
ガチガチのIT系企業だったらもっと安く雇えるとは思うのですが、そうではない会社がエンジニア系の職種を採用しようとすると、どうしても相場より少し高めに支払う必要がでてきます。
経営幹部採用についても事情は同じような感じで、取締役候補を執行役員として迎える場合などです。報酬水準は企業規模にもよりますが、1200万円~2000万円くらいの例を見ています。
こちらも実は、社内に今いる執行役員よりも少し高めに設定することが多いのです。
つまり「高額給与の支払い方」についての相談とは、「今いる社員より少し高く支払ってでもよい人材が欲しい」というニーズが高まっていることが背景にあります。
で、なぜその支払い方がコンサルティングのテーマになるかというと、ご相談いただく各社が、それぞれ失敗した経験を持つためです。
典型的な失敗の第一は「期待した成果をあげてくれない」というものです。
また「入る前に聞いていたことと状況が違う」ということもよく起きます。これが第二の失敗ですね。その際にはせっかく採用した人材が早期に離職してしまいます。
第一の失敗に基づき、各社の経営層や人事部は「給与の下げ方」を求めてきます。
具体的には賞与の引き下げ→月例給与の減給→等級の引き下げという順序での要求となります。
「経験とスキルがあるというから弊社の同じポストよりも200万円高い給与にしたのに、経験は不十分だし、スキルもあいまいだった」という場合に、なんとかして年収を引き下げたい、と相談されるわけです。
しかし採用時の労働条件通知書があいまいな書き方だったりするので、どうしてももめることになりがちです。
このような場合には、後だしじゃんけんをするよりも、まず最初に労働条件通知書を明確にするだけでなく、年収に占める賞与の割合や満額支払い条件などを具体化することが重要です。
さらに社内の評価制度について丁寧に説明し、コミットメントをしっかりしていただくことも必要となってきます。
そのため、実際のコンサルティングの内容は、ピンポイントでの人事制度の見直しと運用支援=制度説明などのサポートになることが大半です。
第二の失敗は入社前との条件の違い、という理由での中途採用者の早期離職ですが、本当の理由は職務権限の不足です。
特に経営幹部として転職してくる人の大半は、肩書にふさわしい権限を求めてきます。
しかし経営幹部を求める会社の多くは、幹部に権限を与えていない場合が多いのです。
そのため、コンサルティングでは、職務権限規程の見直しと、経営会議などの会議体設定の見直しが主になります。
中途採用の失敗は、単純に「良い人に巡り合わなかった」ということではなく、社内の仕組みが不十分なことによることが大半です。
ぜひ自社の人事制度が、優秀な中途採用者の活躍に足るものかどうか、確認してみてください。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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