【4-1】誰が優秀なのか、なんてわかりきってる
前回,「経営者に気づきを与える存在こそが経営ブレインだ」と書いた。
今回紹介する記事ははその“気づき”の最たるものであり,まさに人事担当者の醍醐味でもある。
第1 回で書いたこの連載の趣旨は,「企業を成長させるために人事ができることを5 つ示す」というものだった。
企業の成長とは経営者の強い願いでもある。そこに人事部門としてどう貢献するかがこの連載のテーマだ。
一方で人事部門は,直接的に企業を成長させることはできない。
人事はただ,人を成長させることができるだけだ。
だからこそ面白い。
だからこそ,人事が経営ブレインになると,経営者は楽しくなる。
なぜか?
会社の成長と,従業員の成長,そして自分自身の成長を実感しやすくなるからだ。
今回はそのなかでも特に,経営者から見た従業員の成長を実感しやすくするための方法を紹介する。
「人材の可視化」
が一言での結論だが,情報システムを導入しましょう,という話ではない。
■ 知っているけれど知りたい?
「人材の可視化」というとタレントマネジメントが真っ先に思い浮かぶだろう。
それくらいタレントマネジメントは一般用語化している。
しかしよく考えてみれば,どこにどんな人材がいるのかを知りたいというニーズは,そんな用語ができるずっと前からある。
経営者は自社の人材を熟知したいと考えている。
そして,ほとんどの経営者は,自社にどんな人材がいるのかを把握していると考えている。
知りたいけれども知っていると考えている、矛盾がある。
「知りたいけれども知っている」
ということは,「知っているけれども知りたい」ということでもある。
従って,ここで重要なのは,「何を知りたいか」だ。
■ 優秀な人は誰でも知っている
人材を可視化しようとするときの最大の間違いは
“優秀な人がどこにいるのか”
を示そうとしてしまうことだ。
あなたは自社で誰が優秀と言われているか,すぐに答えることができるだろう。
人事部門だから?
そうではない。
おそらく課長以上のポストに就いている人なら,全く付き合いのない部署であっても,誰が優秀と言われているか,くらいは答えられる。
従業員規模がたとえ10万人になろうと,優秀な人は誰でも知っている。
そのために人事評価制度があり,昇格判断があり,給与改定の仕組みがあるのだから。
もし人材の可視化を目指すのなら,優秀な人にターゲットを絞ると間違えてしまう。
では,経営に有効な人材の可視化とは何か?
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
※当ブログ記事は、平康慶浩が月刊人事マネジメントで2013年9月~2014年2月にかけて連載していた「経営ブレインへの転換を図る5つの人事機能」から転載しています。
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