読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

人事にしかできない仕事とは

雑誌連載記事 人事部門改革

前回記事【1-1】「できる人事」の条件とは へ

 

経営者側の目線に立って一言でいえば,経営企画の仕事は「経営の道筋を示すこと」だし,財務経理なら「損をさせないこと」だ。

 

では,人事の場合,人事制度を改定したり,人材を教育したりして,それが経営にどう役立つのか?

 

実は経営企画とも財務経理とも違う,人事にしか持てない経営者の目線がある。

それが,「企業を成長させること」だ。

なぜなら,「人」だけが環境変化に対応して変われる経営資源だからだ。

そして人の変化とは成長に他ならない。

人が変化して成長することによってのみ,企業は成長できる。

 

ではそのために人事部門はどのような機能を持つべきだろう。

今回を第1 回として,計6 回にわたって人事が持つべき業務機能を示していきたい。

今回はまずその全体像を示そう。

 

 

■企業成長のための人事機能

 

企業を成長させるとはどういうことか?

漠然とした答えではいけない。経営層は常に数字を求めている。

だから企業の成長も,数字で示す必要がある

 

企業の成長とは,売上や利益を増やし続けることだ。

売上や利益といった財務指標に反映されない動きは,成長とはいわない。

もちろん今年の改善活動が来年や再来年の売上や利益につながることはあってもよい。

でも例えば,「従業員満足度が5 ポイント改善しました」は成長ではない

「満足度が上がって,離職率が減って,その結果,生産性が改善して利益が10%伸びました」となれば成長だ。

あくまでも財務指標が伸びることが成長なのだ。

 

ではそのために何が必要か?

 

経営層にこの質問を投げると,ほぼ確実に返ってくる答えが「経営層の分身が育っていること」だ。

だから人事部門が持つべき機能の第1 は,他社と戦える役員をいち早く育てることになる。

一例としては「35歳のプロパー執行役員を10年で生み出す」といったミッションになる。もちろん社外から採用してもいいが,その場合には,魅力のある報酬の仕組みが必要になるだろう。そういった早期教育と選抜の仕組みや特別社員の採用方法を軸にした詳細は次回説明していく。

 

企業成長のために必要な第2 の機能は,儲けの仕組みへの貢献だ。

つまりビジネスモデルに人事として貢献し,生産性を向上させることだ。

あるビジネスモデルでは人材はコストかもしれないが,別のモデルでは成長のコアコンピタンスになりうる。

人材がビジネスモデルに関与している本質を見極め提言することは,まさに人事の役割だ。

 

第3 の機能はインフラの1 つであり経営層にとってとても有意義な人材を可視化するプロファイル整備だ。

できれば退職者までも対象に含めたい。経営層が常に最適配置を実現できるような重要な情報を常に整備して可視化する。評価結果や異動履歴はここで大きな意味を持つようになる。

 

第4 に,ハッピーな退職を実現して組織を活性化することである。

終身雇用に慣れ親しんだ会社では,退職とは引退かリストラを意味する。

しかし,退職とはもっと日常的に当たり前のことで,人々をハッピーにする要素でもある。

そういう組織風土を作るのはまさに人事部門しかない。

 

第5 は,経営層と従業員との橋渡しとなること。

その結果,一枚岩の組織を作ることだ。メッセージを伝え,意見を集約し,組織の風通しを良くしていく。

これらの機能をフル稼働させてこそ,人事は経営にとってなくてはならないブレインとしての役割を確立することになる。

 

 

 

次回記事【2-1】旧き良き役員は不要になる

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役

http://www.sele-vari.co.jp/

 

※当ブログ記事は、平康慶浩が月刊人事マネジメントで2013年9月~2014年2月にかけて連載していた「経営ブレインへの転換を図る5つの人事機能」から転載しています。