あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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成果主義人事が機能しなかった本当の理由

もう「成果主義」と言う言葉は半ば死語になりつつある。

人事コンサルタントたちが使わなくなっているし、各社の人事部門も、まるで腫れ物にさわるようにこの言葉を使う。

 

僕はこの20年にわたって、いわゆる「成果主義」を布教してきた側の人間だ。

そして最近、ようやくわかったことがある。

城さんの本とか、高橋さんの本とかに書かれていることはたしかに事実なのだけれど、もっと簡単な理屈だ。

成果主義がなぜ機能しなかったのか」ということが、ようやくわかった。

 

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

 

 

虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ (ちくま文庫)

虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ (ちくま文庫)

 

 

それはとても簡単な理由だ。

 

成果主義とは、要は、評価をして報酬に差をつける仕組みだ。

それ以前の日本型の人事制度では、評価をして、出世速度に差をつけてきた

そして、出世と報酬とに厳密な関係性を持たせていなかった

釣りバカ日誌の、浜ちゃんと佐々木課長のように、出世した上司の佐々木課長よりも、残業をすれば浜ちゃんの方が給与が高い、と言う状況を作ってきたのだ。だから、出世しなくても高い給与はもらえていた。

でも、成果主義は、その給与に差をつけた。

出世しなければ高い給与をもらえない、としてきた。

だから、多くの人に拒否されたのだけれど、いやいや、そうではない。

それは本質ではない。

 

出来る人たちはもちろん、自分たちが不遇だと思っていたから認められたかった。

そして高い給与が欲しかった。

そして高い給与をもらえるようになった。

 

城さんの本では、その評価が適切ではなかったから、「成果」を出した人が報われていないということを示していた。確かにそれは事実だ。

でも、多くの企業はそんなにバカじゃない。

是正し、改善し、そして、成果に報いるような仕組みにしていったのだ。

ちゃんと「できる人」に高い給与を支払えるように、成果主義を改善していったのだ。

でも、成果主義はだめだった。

 

なぜか。

それはこういうことだ。

 

「俺が仕事ができないことはわかっている。後輩の方が確かにできるよ。あいつが出世するのはわかるよ。でも、なんで俺があいつよりも少ない給料で我慢しなきゃいけないんだ」

 

つまり、「評価が低い」ということと、「給与が低い」ということを関連させてしまったからだ。

それまでは、評価が低くても給与は低くなかった。

評価が高くても、(若ければ)給与は高くなかった。

 

なにがダメなんだ、と思うだろうか。

良く考えてほしい。

 

評価が低いだけなら人は耐えられる。

給与が低いだけなら、それでも人は耐えられる。

評価も低くて、給与も低かったら、人は逃げ場を失うのだ

そして、相対評価の世界では必ず低い評価の人が生まれてくる。

だから、必ず、すべての企業の一定割合の人たちが、成果主義を非難したのだ。

それは、転職ができないからだ。その会社で一生を過ごすことが前提だったからだ。

 

こんな状況をクリアする方法はひとつしかない。

それは、評価の低い人をやめさせることだ。

そうしなければ、いつまでも社内に不満分子を抱えることになる。

一生をその会社で面倒見る、なんてことをやめなければいけなかったのだ。

リストラではなく、終身雇用をやめなければいけなかったのだ。

 

でも、ほとんどの企業では、終身雇用を維持してしまった

 

なぜなら、退職させる方が厳しい処遇だ、と考えてこられたからだ。

実際、日本では転職が難しい。

40才を越えてしまうと、年収水準を半分以下にしなければ転職できない、とも言われる。

だから、仕事ができない人を退職させることは難しかった。リストラの嵐が吹き荒れたけれど、あれは「できる人」に転職のチャンスを与えた部分もある。

そして本当に行き場のない、仕事のできない人はやめなかったのだ。

 

つきつめていけば、成果主義とは「働き方の革命」だった。

だから成果主義は否定された。

最初の革命が必ず否定され、失敗するように。

 

今、成果主義人事以上の厳しい革命が起きようとしている。

職務主義、がその代表だ。

でも、今度はそれほど騒がれていない。

だからこそ、昨日と同じ明日を迎えたい、と思っている人たちにとっては、厳しい明日になるだろう。

せめて、情報を集めて、成長のために努力してほしい。

 

いや、そうではなく、普通の生活を守りたい人たちを、企業は守るべきだろうか。

年功を維持し、評価を報酬に反映せず、村社会のような「和を貴ぶ」企業組織にすべきだろうか。

その問いに対する答を、僕は知らない。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

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