「仕事の創り方」を覚えると人生が変わる
「出世」本をもとにした取材を受けながら、あらためて、ビジネスパーソンのキャリアにある2つの天井を考えていた。
第一の天井は、本にも書いたように、管理職手前から管理職に出世するときのものだ。
目の前の仕事ができるだけでは上に行けなくなる。目の前の仕事を卒業できるようになっても、上の仕事ができる見込みがなければ入学できない。
だから上の仕事をあらかじめ理解して自分のものにすれば、第一の天井は超えることができる。
第二の天井は従業員から経営層になるときのものだ。
それは「使われる側」から「使う側」へ変わるタイミングなのだけれど、これをもう少しわかりやすく説明できないものだろうか、と考えていた。
なにか一つのキーワードで説明でいれば一番よい。
そうして僕が気づいたのが「仕事の創り方」だ。
これを覚えることができているかどうか、が第二の天井を超えるポイントになる。
逆にいえば、「仕事の創り方」を覚えていれば、第一の天井を越えなくてもよくなる。
なぜなら、「使われる側」になることなく、「使う側」にたどり着けるからだ。
考えてみれば、成功している経営者の多くは20代から起業している。
松下幸之助は24歳。
本田宗一郎は22歳。
稲森和夫は27歳(社長になったのは34歳)。
孫正義は20歳で、藤田晋は25歳だ。三木谷浩史はぎりぎりオーバーしているけれど、30歳で起業しているからまあ20代と言ってもいいんじゃないだろうか。
そんな彼らに就業経験はあっても、基本的には最初に入った会社で偉くなったわけではない。
つまり彼らは第一の天井なんて乗り越えていないのだ。
若い頃に起業すると、第一の天井を越えていない。
それはつまり、使われる側で一流になっていない可能性があるということだ。
だからこそ、彼らは優秀な他人に仕事を任せてきただろう。
じゃあどうやって仕事を任せるのか?
起業したての会社では、ビジネスそのものの定義自体がとてもあいまいになりがちだ。
提供するサービスも、求める品質も、どれもが経営者の思いだけで決まることになる。
何をどれだけどこまでやればいいかが胸算用で決まってしまう。
それなのに、従業員に対して「いい感じでやっといて」なんて課長のノリで任せたりするととんでもないことになる。
何をつくるのか
いつまでにつくるのか
どこまでのものをつくるのか
どうやってつくるのか
できなければどうするのか
それらをはっきりと描いて伝えて働かせなければいけない。
それは計画策定でも、スケジュール管理でも、ない。ましてや戦略策定やビジョニングなんてかっこいいものでもない。
たった今ここで何をするのか、ということを定めることだ。
それを目の前の一人だけでなく、十人、百人に伝えることができるようになる。
それが仕事を創るということであり、経営者になるための第二の天井だ。
そうして創った仕事は、従業員を夢中にさせるものであれば、なお良い。
人生の一定の時間を費やすのに足るものだと実感できるものであれば、さらに良い。
仕事の結果に対して十分な見返りを与え、ともに次の仕事を創りだしていけるようになれば最高だ。
小手先のキャリアテクニックよりも、そんな本質の方が大事だと思う。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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