あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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二人目の上司が君のキャリアを決める

今日書くのは明確な根拠がない、まあ居酒屋でのたわごとの部類なんだけれど。

振り返ってみれば、僕自身のキャリアを決めたのは、最初の上司ではなかった。

二人目の上司が、僕のキャリアの方向性を決めたように思う。

 

僕は今までに2回転職をしているので、独立して作った今の会社を除けば、3社の経験がある。

それぞれの会社で、二人目の上司に一番強く影響を受けた。

 

 

■ 最初の上司とは良くも悪くも深くは理解しあえない

 

最初の上司が素晴らしい人だった、という人もいるだろう。僕自身にとってももちろんそうだったのだけれど、「いい人だったな」という印象だけが残っていて、さて具体的にどんな仕事を一緒にしたのか、どこかあいまいな人もいる。

最初に素晴らしい、と思っていた上司に対しての印象が、あとで変わることもある。

社会人生活を続けて、別の上司の部下になったとき、意外と普通の人だったなぁ、とか、なんだもっとすごい人がいるじゃないか、といった具合に。

素晴らしい上司ですらそうなんだから、もちろんダメ上司である場合にはもっと印象が変わるだろう。

なぜそうなってしまうのかといえば、最初の上司のもとで働くとき、部下である自分の側に準備ができていないからだ。上司の求めることに応えるだけのスキルや経験がまだまだ備えられていないからだ。

だから最初の時点で「素晴らしい人だなぁ」と思ったとすれば、それはまだ目がくらんでいる状態だ。あるいは「ダメな人だな」と思ったとしても、その印象も間違っているかもしれない。

最初の上司のもとにいる期間は、半年から3年くらいじゃないだろうか。

その間、ビジネスの基本やスキルアップの心構えなどを身に着けておけばよい。

そうして、二人目の上司のもとにいったとき、本気を出そう。

 

 

■ 二人目の上司との関係は互いに先入観から始まる

 

同じ会社で二人目の上司のもとにつくとき、上司側も部下側も、互いに情報を集めていることだろう。

上司は新しい部下の情報を確認する。過去の評価履歴はもちろんだし、必要であれば履歴書や職務経歴書を確認することもある。

一方部下の方はそんな人事書類を見ることはできないけれど、周囲の評判は聞くことだろう。厳しいのか、やさしいのか。怒りっぽいのか、無口なのか、などなど。もちろん、できる人なのかそうでないかも確認するだろう。

 

最初の上司が、なにもないところから君を評価し始めるのに対して、二人目の上司は「過去の評価」や「評判」から君を評価し始める。

そして、これが重要なのだけれど、二人目の上司は、君自身に対して「成長」や「貢献」を求める。かなり強く。

一人目の上司よりも、二人目の上司の方が、君に対して接してくる度合が本気なのだ。

大企業でも中小企業でも、配属された従業員は、3年目だろうと20年目だろうと、一人としてカウントされる。カウントされている以上は、営業ならノルマ的な数値目標が与えられるし、事務であればそれだけの作業量が期待される。

だから君が優秀であればさらに高みを目指してほしいと期待するし、不出来な面があれば叱咤激励しながら教育に力を注ぐ。

 

3月から5月にかけていろいろな会社で人事異動が発令される。

次の上司がもし二人目なのであれば、それをきっかけに、少しだけ本気を出してみてはどうだろう。

きっと、キャリアの中で重要なイベントがいくつも生まれるだろう。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)