嫌われる上司になる4つの方法
会社の中で、上司というのはとても重要な位置づけだ。
若者の退職理由の大半は「上司と相性があわなかった」というものだし、逆に部下が活躍した背景には上司の助けがあったりもする。
上司になった人たちは、誰もが「尊敬される上司」になりたいと思うのではないだろうか。
しかし案外、人はその反対の行動をとっていたりする。
たとえばあなたは、次にあげる4つのことをやってしまってはいないだろうか。
1.話をさえぎる
「ああ、君が言いたいことはだいたいわかるよ」
まだ部下が話している途中だけれども、優秀な上司であるあなたは彼が何を言いたいのかがわかってしまう。
なるほど、そういうことを考えているんだったら、良い助言をしてあげなきゃな。
そう考えてあなたは「善意で」彼の発言を止める。彼が本当に言いたいことをわかりやすく説明してやる方がいい、とも思う。
そういえば最近受講したコーチングのセミナーでは、相手の話を要約してあげるといい、といっていたな。
「要は君がいいたいのはこういうことだよね。ポイントは3つかな(ドヤッ!)第一に……」
部下の方はといえば、たしかに上司のあなたの言うとおりだとうなずいている。そこに少しばかりの尊敬の念もあるように見えて、あなたはとても満足する。実は尊敬、ではなく、もやもやした不満の表情だったのだけれど。
そして半年後、あなたは彼からの退職願のメールを受け取って残念に思う。
(せっかく俺が指導してやっているのに、いまいち伸びなかったな。まあ仕方ないか。早めに転職するのも彼のためかもしれないし)
人事との退職面談で彼が口にした退職の理由をあなたは耳にすることがないまま、同じことを繰り返すのかもしれない。
「上司の〇〇さんとは仕事がしづらかったですね。要点から話さない私の方が間違っているのかもしれませんが、とにかく最後まで話を聞いてくれたことはありませんでした。すぐに自分の思い込みを押し付けてくる場合も多かったですね」
2.話題を変える
「名古屋の見込み先への営業結果はどうだった?」
部下が意気込んで報告に立ち上がる。
「はい!3社を回ったんですが、最初の会社からまず良い感触を得ています。場所は名古屋駅からも近い、大須と言うところなんですが……」
「大須か!なつかしいなぁ。僕の最初の配属先は実は名古屋でね。大須には当時お笑いの劇場があってね。あれはまだあるのかな?」
「え、いや、ちょっとわかりません……」
「大須だったら矢場も近いよな。うまいトンカツ屋があるんだよ。行ってみたかい?」
「いえ……すぐに移動する必要があったので……」
「そうかー。あ、で報告だっけ」
そういうあなたには、報告する気を失ってしまった部下の表情が目に入らなくなっているのかもしれない。
やがて部下たちはやがてあなたのことをこう言い始めるだろう。
「結局こっちが何を話してもさ、すぐに自分の知っていることとつなげて、自分だけが話そうとするんだよな。あれで課長としての意思決定ができてんのかな?」
「できていないから万年課長なんだろw来期あたり担当に落とされるんじゃね?」
3.感情を否定する
「そんな弱気でどうするんだ!」
部下の営業報告が悲観的で、このままだと受注できないかもしれない、という不安を口にしたとする。そんなとき、元気づけようと考えて、不安を否定しようという気持ちになる上司は多いだろう。
あるいは「大丈夫だよ。営業をしていると誰でも不安になるもんだ。そういうときこそ強気で行くんだ!」と前向きな助言をすることが有効だ、と考えるかもしれない。
もしちゃんと話を最後まで聞いて、それに対して明確な根拠を示したうえで、「だから大丈夫」というのなら、問題はない。
しかし話の途中で、不安そうな表情があなたの癇に障ったからといってすぐに否定してしまうようなことはないだろうか。
話の途中で感情「だけ」を否定されてしまうと、人は話せなくなってしまう。そしてそれは、あなたを敬遠しようとする行動に結びつける可能性が高い。
「あの人は結局、いつまでも体育科系根性論ばっかりなんだよな」
そう言われてしまう上司に先はあまりない。
4.時間の圧力をかける
「もっと手短に話して」
クールで知的な上司が口にしそうな言葉だ。
口に出すのならまだましな方で、何もいわずにその場を離れたりすることで相手の話をさえぎる人もいる。
余談だが、時間単価が高い俺の時間を無駄にするな、ということをなり立てコンサルタントがよく話す。時には合コンの場ですら「俺たちの時給を考えると君たちはずいぶん得をしているよね」ということを平然と話す人たちもいる。それがおかしい感覚だ、と気づいたあたりからコンサルタントはやっと人並みのビジネスパーソンになれる、様な気がする。
話がそれたが、要は話の途中で時間の圧力をかけてしまうと、それは相手に対する威圧になるということだ。
とはいえ、時間がないことも事実であったり、あるいはたしかに冗長な話し方で聞くに堪えない場合もあったりする。そういうときには「あらためて時間をとるのでその時に聞かせてほしい」とか「要点を絞って結論と理由、という順序で話してみて」というような指導をすることが望ましい。
「手短に話せ、っていうけれど、結論だけ話すとすぐに『勝手にはしょるな』って怒鳴るんだよな。結局、『俺様いつも忙しいです』って振りしてるだけで、話を聞く余裕がないだけじゃないの」
「たしかに。そのくせ、あの人に話しをさせると大事なことをぼやかすから何言ってるかわかんないし。質問しても、『それくらい自分で考えろ』って、頭いい振りしてるだけだよな」
これらはいずれも、誰でもやってしまいそうになることだ。
特に「男社会」では上司部下の関係がそのまま力関係になることが多いので、上司側も部下側もこの話し方に疑問をいだかない。
しかし男性上司が女性部下に対してこのように話してしまうと、すぐに問題が起きることがわかる。
また、年齢差が空いている場合には、男性同士であっても問題が生じやすくなる。
昔を懐かしむ40代後半以上の上司側にとってはやりにくいかもしれない。
しかし逆に、『組織が男性メインで構成され、しかも年齢差が空いていない』状態でのマネジメントがあたりまえだった時代の方が特殊だ、と理解すれば、受け入れやすくなるだろう。
ちなみにここに紹介した内容は、以下の本の一部をアレンジしたものだ。
興味のある方は是非読んでみてほしい。
人づきあいの技術―ソーシャルスキルの心理学 (セレクション社会心理学)
- 作者: 相川充
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平康慶浩(ひらやすよしひろ)