あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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40代以上こそが多様に活躍する時代

前回記事はこちら。

僕が59才になるときの「確定」人口グラフをつくってみた - あしたの人事の話をしよう

 

今回は、紹介したグラフの僕なりの読み解き方を書いてみる。

結論を一言で言えば、「40代以上にこそ多様な活躍が求められる」ということだ。

 

 

■ 40代前後の人たちが直面する三つの課題

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前回記載したグラフは、高齢層が増えて若年層が減る、というように見えたと思う。

でもそんなマクロのことを考えても仕方がない。

大事なことは、一人一人にとってどんな変化があるか、だ。

ちょうど僕は人口のボリュームゾーン(今35~50才くらいの世代)にいるので、その世代を例にあげてみよう。

 

僕たちの世代が活躍する場面において重要なことは3つある。

 

第一に、会社の中のポストよりも人数が多い、ということ。

だから上のポストを得ていくタイプの出世を目指していても、必ず手に入るとはかぎらない。むしろ、自分のためのポストを社内に作っていくようなことが求められる。

出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)の内容でいえば、187ページからの第六章がそれにあたる。

 

第二に、僕たちの世代もまた、働き方の変化にさらされている、ということ。

たとえば最低限の英語力は今よりも必要になるだろう。

どうこう言っても続いていた年功的な考え方は、どんどん消えていく。そして二回り違う若者と仕事を取り合う場面も出てくるだろう。

それだけではない、様々な働き方の変化が、これからさらに増えるだろう。

 

僕たちが社会に出たあたりから、「働き方」が大きく変わってきた。

パソコンがあたりまえになり、ネットワークがあたりまえになり、遠く離れていてもつながりあうことがあたりまえになってきた。

そんな時代しか知らない僕の周りの20代の人たちに、

「パソコンなし、インターネットなし、携帯なし、と言う状況でどう働いていたのか想像できる?」

と聞いてみた。

 

「えーと、資料は手書き、なんですか?じゃあ習字とか習ってました?」

「ものすごくのんびり、とかですか?」

「待ち合わせとかどうしたんですか?」

「調べ物は図書館?それともたくさん本を買っておいたんですか?」

 

逆に質問攻めにあった。

 

団塊の世代が「メール?そんなもんいらん!」「タッチタイピングなんてこの年で覚えられるか!」などと愚痴っていたことを思い出してみよう。

同じような変化は常にある。逆に今を変化の時代としてとらえられていなければ、僕たちの頭はずいぶん固くなってしまっているのかもしれない。

 

そして第三には、稼げる限り稼ぎ続けなければならなくなった、ということだ。

年金はこの15年で15%も目減りしている。

人口動態を見る限り、年金が増える可能性は皆無だ。さらにインフレが進むと、年金だけで暮らすことはずいぶんと難しくなるだろう。

 

まとめてみよう。

 

第一に、自分のポジションを自分で作らなくてはならない

第二に、働き方の激変に対応しなくてはならない

第三に、いつまでも働き続けなければならない

 

僕が人口動態グラフから読み取るのはそういうことだ。

 

 

■ 僕たちが選べる選択肢

となれば、僕たちが選べるのは、たとえば次の絵のような選択肢だ。

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この絵の中でちょうど赤い〇で囲ったあたりが、僕たちの世代に与えられた選択肢だ。

 

ほとんどの人は会社に入って、そこで出世競争をしてきただろう。でも今後はその道も、細っていく。

だからむしろ、起業・独立を選ぶ人が増えるだろう。決して楽な道ではないけれど、会社にいられるのは65歳までだ。

人によっては投資・副業に精を出す場合もある。

それらを越えて、出世を求めず「足りるを知る」生き方を選ぶ人もいるだろう。

 

どれがいい、ということは断言できない。

ただ、いずれにしても僕たちの世代こそが、自分なりの、自分らしい活躍を目指さなければいけない、ということだけは言えると思う。

 

ではまた明日(多分)。

 

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)