あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

人事制度

宗教と人事制度の相性が意外に良いことに気付いた

まず最初に、僕は無宗教だ。 日本に住むほとんどの人と同様に、正月には神社に初もうでに行く。 えべっさん(これは関西限定か)で宝船をもらう。 お盆にはお墓参りをするし、12月にはクリスマスを祝う。 暮れには除夜の鐘にしみじみとものを思う。 友達や部…

事業計画を作る人は人事マネジメントを勉強した方がいい

ここ半年くらい、仕事で、たくさんの起業計画を確認させていただいた。 社会人がまじめに作るタイプの起業計画で、かなりガチなものだ。 なによりも、お金がちゃんと動いている。 中にはもう動き出しているものもある。 そんなたくさんの起業計画に、どうし…

僕が考える人事制度の本質(2014年10月13日版)

「変化の時には本質に手の届く人が出世する」 と言う言葉を本に書いた。 出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ) 作者: 平康慶浩 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2014/10/09 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る じ…

40才から出世する人はどんなことをしているのかを本にまとめてみた

だいたい35才から40才くらいで課長になると、どうすれば「できる課長」になれるのかを考えて活動する人が増えるように思う。 会社もそれを期待しているし、やりがいだって高まる。 でも、実は「できる課長」を目指している限り「部長」や「執行役員」「取締…

ロジックだけで設計できないアルバイトの昇給

昇給の仕組みを設計するときに気を付けていることがある。 特にアルバイトやパートなどについての昇給の仕組みだ。 一般的には昇給というのは、やる気を高めたり、目の前の努力水準を高める効果がある、とされる。 だから、アルバイトについても昇給の仕組み…

職務給の導入は年功賃金の廃止よりももっと重い問題を抱えている

日立が職務給を導入する。 <年功賃金廃止>世界企業は続々改革…日本型脱却は難しい?(毎日新聞) - Y!ニュース <年功賃金廃止>世界企業は続々改革…日本型脱却は難しい? (毎日新聞) - Yahoo!ニュース メディアはいずれも「年功賃金廃止」とかって論じ…

都市論から学ぶ、組織人事のあり方

最近、意識してやっているわけではないのだけれど、インプットの方が多くてなかなかアウトプットができていない。 そんな中でも、ぜひ紹介したい本がある。 白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか 作者: 蓑原敬,藤村龍至,饗庭伸,姥浦道生,中島直人,…

目標管理制度が失敗する意外な理由

僕は普通の目標管理制度については否定的だけれど、それが必要な場合がある、ということはわかっている。 ちなみに、目標管理制度を見直す方法については、以前「月刊人事マネジメント」と言う雑誌にこんな記事を書いた。 目標管理制度のカスタマイズ ~シン…

セミナー紹介「等級制度を変えないと旧い人事の常識は変わらない」という話をします

2014年10月3日(金)の14時~16時で、こんなセミナーで話をする。 セミナー情報: 等級制度で理解する人事評価制度の本質 | Glodea 【構成】 1.職能等級制度の限界と今後 2.等級制度の変革が持つ意味 3.自社の等級制度をどう見直すべきなのか 4.人事…

飢餓感がチャレンジ精神をはぐくむ

ヒアリングをすると新しい発見がある。一つの企業を支えてきた役員たちのふとした言葉に、多くの気づきを与えられる。 8月から、新しいクライアント1社の人事制度設計を始めた。 最初に各種分析をして、それからさまざまな人にヒアリングをしている。この…

習うのと慣れるのは同じ価値がある(人事のお話です)

僕の25年来の友人に、割烹の板前がいる。 大阪の割烹の息子で、高校卒業後は辻調理師専門学校で学び、その後は師事した親方と4~5人のチームを組んで、いろいろな店を巡っていた。いくつかの店では僕も常連になり、店と彼の成長とを応援していた。 今や…

地動説は天動説信者を説得できなかった(人事の話です)

僕たちは今、地球が惑星であり動いていて、世界もまた動いていることを知っている。 つまり、天動説も地動説も正しい、と言うことを知っている。それぞれが排他的でない、と言うことを知っている。 でも、昔はそうじゃなくて、地動説がひろまったときにはコ…

社員が少ないからと言って人事制度設計は簡単じゃない

100人以下の会社で人事制度設計を頼まれることがあるが、僕はコンサルティングにかかる費用を値引きすることはない。 なぜかといえば、人数が少ないからこそ、制度設計が大変なことが多いからだ。 たとえば100人の会社と1000人の会社があるとしよう。 人事制…

年収300万以下の人が増え続けていることについて

2012年末に「うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ」と言う本を東洋経済新報社から上梓した。 年収300万以下で働く人たちが50%近くにまで増えているということや、毎年の平均昇給額が5000円もない状況(1990年代までは1万円くらいはあった)…

人事評価制度改革についての個別無料相談会を実施しています

セレクションアンドバリエーションでは、毎月2日間にわたって、人事評価制度についての個別無料相談会を実施しています。 開催場所は大阪北ヤードにある、グランフロント北館7階、ナレッジサロンにて。 1社につき1時間をフルに使って、様々なご相談にお…

インセンティブの仕組みの本質

人を動かすための仕組みに、インセンティブ、がある。 「インセンティブ設計の経済学」伊藤秀史・小佐野広(2003)勁草書房、によれば、広い意味での「インセンティブとは『やる気を起こさせるもの』『アメの期待とムチの恐れとを与えて、行動へと駆り立てる…

人事制度の次のキーワードは「エスニシティ」だと思う

Photoby:Yasin Hassan Creative commons これはまったく僕の予想にしかすぎないのだけれど、それでも、人事評価制度をつくっている現場の感覚で、実感し、予想することがある。 これから数年間、こっそりと、「エスニシティ」が重要視されはじめるんじゃな…

【5-3】退職を卒業に変えれば、スモールワールドネットワークが生まれる

Photo by HotDuckZ creative commons 前回記事【5-1】わが社の定年退職者を幸せにするために ■ アルムナイ(卒業生)を組織する ハッピーな退職の仕組みをつくるための、小手先でない第2 の方法を説明する。 それは、アルムナイのネットワーク化だ。 アルム…

【5-2】わが社の定年退職者を幸せにするために

前回記事【5-1】定年制度とは城か檻か -ハッピーな退職のためへの思考と仕組み Photo by hapal creative commons ■ 退職が不幸になる理由 かつて定年退職がハッピーであったのは、潤沢な退職金や年金が保証されていたからだ。 土地神話も存続していたので、…

目標管理制度を「目標達成度を評価する仕組み」として使うとうまくいかない

目標管理制度と言う、人事評価の仕組みがある。 かなり一般的な仕組みなので、ほとんどのサラリーマンの方なら少なくとも聞いたことはあるだろう。 目標管理制度とは、目標をたてて、目標を達成するために努力して、その結果で評価される仕組みだ、と思われ…

残業代ゼロ法案で年収が23%アップする?

■ チェックが甘ければ確かに悪用されるかもしれない、けれど 著名な方々が、アベノミクスの労働時間規制の見直し=いわゆる残業代ゼロ法案について反対意見を示している。 山崎元さんのこの記事とか。 「残業代ゼロ」法案はブラック的で的外れ。労働の規制緩…

さよなら能力評価(後編):潮目が変わった人事制度 第2回

さよなら能力評価(前編)はこちら ■ 旧い能力評価はもういらない 能力評価がなんのためにあるのか。 検討ポイントはそこにあった。 それは、僕たちにとっての「あたりまえ」を覆すきっかけでもあった。 前編に書いたように、そもそも20年以上前の多くの会社…

さよなら能力評価(前編):潮目が変わった人事制度 第1回

人事制度の潮目が変わってきたなぁ、と感じる。 過去と言ってもそんなに昔じゃない。たとえば10年前とかそれくらいの常識が、2014年の今年くらいから大きく変わっていく気がしている。 僕は売上高ウン千億円の大企業や数百億円の中堅企業、100億円以下の中小…

人事評価制度を設計するための実務本を書きました

意外と多くの会社で、自力で人事評価制度をつくっておられます。多くの中小企業と、あと大企業でも多いようです。 中小企業だと、「わざわざ人事コンサルタントに頼むほどでもない」とか「誰に頼めばよいかわからない」「何のために総務とか人事とかがいるん…

継続雇用の仕組みは60歳よりも前の世代に向けて作る

SMBCコンサルティングの時事セミナーで話してきました。 改正高齢者雇用安定法にどう対応すべきか、という話です。 【時事】60歳以降の再雇用時代の人事制度のあり方 http://www.smbc-consulting.co.jp/company/seminar/kansai/month/201401/seminar_201…

会社の業績はいいのに給与が増えないなら100円の本を読もう

経済3団体の新年祝賀会で、安倍首相が賃金アップをお願いするという、ある意味非常事態になっています。 政府が民間企業の給与水準に口を出すなんてまるで戦時中の賃金統制令のようです。賃金統制令は、逆に給与をあげられないようにして年齢給を徹底させた…

降格制度は必要なのか

私の今年の仕事納めは今日なんですが、年内に仕事が納まるわけもなく、ただ大晦日から正月に向けて家族や両親とのだんらんに時間をとるので、できるところまで区切りをつける日、ということになります。 一応納めてることになるのか。 でまあ、ブログ記事も…

40歳からの稼ぎ方

若いうちに勉強とか人付き合いとかネットワークとかつくりなさい、的な自己啓発本は星の数ほどあるのですが、年齢が上がると、その類の本は激減します。 みつかったとしても、「定年に向けて準備しましょう」的なものが大半。 それってつまり、今の会社にし…

平均年収は増やせるのだけれど、そうしたら雇用は減るかもしれない

hatenaから、私のブログ記事が誰かに引用されたよ、とメッセージがきました。 見に行ってみたら、こちらのブログにたどりつきました。 年収300万円の先にある未来 - ぼくら社Blog 安田 佳生さんという方が書かれていて、はて、どっかで見たお名前だな、と…

月給100万円を目指す方法(2)

**************************** 2013年10月30日に書いた記事の続きです。 前回記事はこちら。 月給100万円を目指す方法(1) **************************** 最初に、このグラフはなんの利率をあら…